活魚水槽・生簀水槽の活魚がすぐ死ぬ時の原因と改善方法
新規のお客様から頂くご相談で、「活魚(甲殻類・貝類・イカ)がすぐに死んでしまう。」といったお悩みが多くあります。
ストックしたい食材が死んでしまう事によって、
- ロスが出る
- お店の印象が悪くなる
- お店の評判が悪くなる
- 予約の品が欠品してしまう
などのリスクに繋がります。
活魚水槽は抜群の鮮度を保持し、料理の幅を拡げ、お客様にも最高のアピールをしてくれる素晴らしいツールです。
せっかくの生簀水槽。上手に活用するための最低限の知識を身につけておきましょう。
活魚水槽に原因がある場合と、それ以外の要素も踏まえて考えられる原因と改善策をご紹介します。
もくじ
活魚水槽以外で考えられる原因と改善方法
活魚水槽とは別の要因で、活魚の仕入れルートや情報の不足でおこりうる原因も考えられます。
活魚の仕入れ元の品質
取り扱っている活魚の仕入れは、しっかりと自身で品質を確認しているものでしょうか?
安さばかりを追い求めていませんか?
水揚げから自店舗に届くまでの生き物の過程を知っていますか?
外国産の安価な食材や相場よりも安い魚貝類ばかり使っていませんか?
しっかりと自分の目でイキイキとした活魚を仕入れる「目利き」を持つことが大切です。
考えられる原因
- 仕入れ価格ばかりに注目している
- 仕入れ元がどのような環境でストックしているか把握していない
- 通販等で顔をあわせた事の無い業者から仕入れている
- ストック環境や管理体制が良くない
- 配送環境、輸送環境が良くない
などが考えられます。
改善方法
- 価格も重要だが、自身のお店や料理の方針をもう一度見直す(ロスが出たり、質の悪い素材はお客様に伝わる)
- 仕入れ元になるべく赴いて、実際の管理体制を見る(信頼できるかどうか確認する)
価格ばかりを重要視すると、質が下がりロスが増えて、結局高くつく可能性すらあります。
特に注意したいのは、お客様に本当に良いものを提供する為の活魚水槽だという事が前提です。
活魚の仕入れ元とのコミュニケーションやルートの情報不足
仕入れ元に、情報を確認する事は、
生簀を取り扱う上で大変重要なポイントになります。
魚貝類の種類に応じて水温・塩分濃度、その他にも生簀で扱う際の注意点が存在します。
信頼できる仕入れ元を選び、コミュニケーションを欠かさないように信頼関係を築く事は必須です。
考えられる原因
- 仕入れ元に水温を確認していない
- 仕入れ元に塩分濃度を確認していない
- 仕入れ元から自店舗に来るまでのルートや環境を把握していない
- 魚貝類の特徴や注意点を確認していない
- 海から水揚げされてから、仕入れ元に入るまでの過程を知らない
などが考えられます。
改善方法
- 仕入れ元に水温や塩分濃度、特徴は魚貝類の種類や産地、季節毎に確認する
- 漁師さんが獲った生息域の情報が一番信頼性が高い(海の生息環境がベスト)
- 生簀で活かすという事を仕入れ元に必ず伝える
仕入れ元とのコミュニケーションが不足していると、活魚水槽以前の問題が起こる場合があります。
活魚水槽が原因の前に、しっかりと仕入れの段階から網羅しておきましょう。
※注意点
仕入れ元が、間違った状態でストックしている事もあります(2,3日しかストックしないため)
売ることだけが目的となっている場合もあります。
そのような異常事態も想定し、場合によっては別のルートから仕入れる事も検討しましょう。
活魚水槽が原因で考えられるトラブルと改善方法
水槽に付帯する機器や水槽設備が原因の場合は、設定や構成、定期的なメンテナンスの方法を見直す必要があります。
考えられる原因を一つずつチェックしていきましょう。
酸素が不足している
しっかりと水槽の中に酸素が供給されているか確認しましょう。
酸素の供給はエアーポンプがしっかり動作し、
エアストーン等で細かな泡となって水槽内に放出されている必要があります。
考えられる原因
- エアーポンプの老朽もしくは壊れている(エアーポンプのコンセントが抜けている)
- エアーストーン(細かな泡が出る石)が目詰まりしている
- エアストーンが水面から出ている
- エアーチューブが抜けている
- エアーの調整コック等、排出量の設定が少ない
などが考えられます。
改善方法
- エアーポンプ・エアストーンを新品に取換える
- 目詰まりしたエアストーンを塩素系漂白剤に漬ける(再使用する場合はしっかりと真水に漬け置き+天日干ししましょう)
- エアチューブのジョイント部分を小さな結束バンドで縛る
- 調整コック等を固定したい場合はボンド止めするなど
- 落水するポイントを作る(水が落ちる時に空気を巻きこむ場所をつくる)
といった改善方法があります。
活魚は酸素が無くなると酸欠になってすぐに弱ってしまいます。
目に見える泡=酸素量では無く、肉眼では見えなくても海水中に溶け込んでいる酸素の量が重要ですので念頭にいれておきましょう。
水槽の水温が生体の適正水温とズレている
例えば活魚が10℃の海域に生息している生き物の場合、
活魚水槽が20℃の海水だと温かすぎて死んでしまう事になります。
考えられる原因
- クーラーの設定温度が間違っている(仕入れている生体に対して適正ではない)
- クーラーが故障している
- 温度センサーが空気中に出ている(コントローラーやサーモスタットが付いている場合)
- クーラーの能力が足りていない
- クーラーの設置場所が密閉されていて、排熱ができていない
- 水槽の設置場所が極端に暑かったり寒かったりする
改善方法
- クーラーの性能を見直し、新品を購入する
- クーラーの設置環境を見直す
- クーラーの取り扱い説明書を見直す
- 解決しない場合は、メーカーに問い合わせる
クーラーに異常が無くても、水槽の実水温と設定温度に差がある場合があります。
故障かどうかは正確な水温計を用意した上で確認を行いましょう。
塩分濃度が適していない
塩分濃度も活魚にとって欠かせない条件です。
生息している海となるべく近い塩分濃度の環境を活魚水槽に再現してあげる必要があります。
考えられる原因
- 比重計の精度が落ちている、壊れている
- 比重を測るときに比重計に泡がついている
- 設置場所が乾燥していて蒸発が早い
- 仕入れの時に減った分の海水を足している
- 比重を測っていない
改善方法
- 調理用の塩分濃度計で測ってみる(ATAGO社の塩分濃度計など)
- 活魚水槽の比重と仕入れの時に魚屋さんが持ってきた海水を測定して比べて見る
- 新品の比重計を買う
- 水が蒸発して減っている場合に海水では無く、真水を足す
- 活魚水槽にしっかりとフタをする
比重は水量に変化があった場合は随時測定するようにしましょう。
海水魚の場合、少し薄いくらいが浸透圧に負担をかけずに済みます。
蒸発する事も踏まえて、気持ち薄めに活魚水槽の比重を調整しておくと平均値が丁度良い数値になるかと思います。
生簀の水が濁っている
「水が濁っている(水が汚れている)=水質が悪い」とは限りません。
そして逆に「水がピカピカ=水質が良い」とも全く言えません。
濁りの原因は、生き物の粘膜や排泄物、死骸などの有機物をバクテリアが分解している最中です。
生簀の水が濁り続けている場合、浄化がおいついていません。
一時的な濁りや物理的な濁り(泥が舞った等)は自然界でも当然起こるので生体にほとんど影響はありません。
水がピカピカでも、魚が死んでしまう理由は、毒性のある物質が存在するかどうかです。
活魚から出る粘膜や排泄する糞尿がアンモニアへ変化すると有毒になり、亜硝酸、硝酸塩となって蓄積します。
有害物質が蓄積すると魚が弱って、活魚が生きられない環境となります。
考えられる原因
- ろ過能力が不足している(ろ過槽やろ過材が適切な構成になっていない)
- 活魚を入れすぎている(水量に対して活魚の量が多い)
- 水換え不足(ろ過では無害化出来ない最終残留物が蓄積している)
- 餌を与えている
- 貝の場合、閉じたまま腐敗している
- 配管やストレーナー、スポンジ等の目詰まり
が考えられます。
改善方法
- ろ過槽やろ過材の見直しや交換、リセットを行う
- 活魚の数を減らす
- 弱っている生体は様子を見ずに直ぐに活け締めにして保存する
- 頻繁に新しい海水で水換えを行う(通常、一番確実で手っ取り早い方法)
などが考えられます。
一番厄介なのは、ろ過材を換えてもろ過槽をリセットしてもコンディションが一向に良くならない原因不明の状態です。
改善方法として確実なのが水換えを頻繁に継続的に行う事です。
化学系の吸着濾材を使用する方法もありますが、
定期的に交換したり、活魚水槽のコンディションが悪くなりそうな絶妙なタイミングで交換するなど、
そこそこのコストが永続的にかかる事と、交換のタイミングが難しいです。
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ですので、一般的な活魚水槽よりも導入費用は少し高いですが、
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