活魚水槽のクーラー「選ぶ時の注意点」
活魚水槽や生簀のクーラー選びは、ストックする魚介類の生息域に応じた選定が必要です。
例えば、北海道で獲れたホタテを東京湾にばら撒いても1匹たりと生き残りません。
水質どうこうではなく、水温が適正で無ければ活魚水槽や生簀でも同じ結果になります。
水槽設備の専門業者に任せる予定の方も、自分で活魚水槽を作るつもりの方も。
知っていれば失敗の無い活魚水槽のクーラー選びのポイントをご紹介します。
活魚や生体の生息水温を把握する
活魚水槽の水温を設定するにあたって、まずは「水槽内の水温を何度にする必要があるのか」を決定する必要があります。
例をあげると「アワビ」と一口にいっても、東北で獲れたアワビと三重県で獲れたアワビでは同じ季節でもまるで水温が異なります。
上手に活魚水槽をつかいこなしている事業者さんの共通点は、仕入れ業者さんや漁師さんにしっかりと生息海域の温度をヒアリングしています。漁獲から自身が扱う活魚水槽に入るまでのストーリーを知らなければ、もしうまくいかない場合も原因の特定すら出来ません。
注意したいケース
- 「仕入れているところが15℃だと言っていたから15℃に設定している」
この場合、仕入れている卸業者さんは単なる中継地点的な商売をしていると(特に安さを売りにしているところに多い)生簀からロスが出ないように1日、2日以内で全て捌ける仕組みだったら。
海で暮らしていた水温が19℃だった場合、「1、2日だけのストックだから」と15℃の冷水にさらされていた生体は極限まで弱っている可能性があります。その逆も然りです。
ベストは産地や状態を信用・信頼できる仕入れ元から情報も仕入れる関係を築く事です。
活きた生き物を扱うという事は、生体と匹敵するほど情報も大切なのです。
活魚水槽やいけすの水量と損失熱量を計算する
設定したい水温が決まったら、ストックする水槽の総水量を算出します。
総水量というと、濾過槽がある場合はそれも含めた全ての水量(L)です。
損失熱量の計算
損失熱量は、照明器具や殺菌灯、循環ポンプなど熱を持つ機材の出力(W数)を水量として計算します。
活魚水槽一式の例
- 幅90cm×奥行45cm×高さ45cmの活魚水槽
- 幅60cm×奥行30cm×高さ40cmの濾過槽が付いている
- 15Wの殺菌灯を装備
- 30Wの循環ポンプを装備
この場合の水量は
- 活魚水槽:9×4.5×(4.5-0.5※水位を考慮)=約162L
- 濾過槽:6×3(4-0.5※水位を考慮)=63L
- 殺菌灯:15W=15L
- 循環ポンプ:30W=30L
合計:162+63+15+30=270L となります。
目的の水温と水量からクーラーを決定
上記で計算した270Lの水槽設備で、15℃設定を例にクーラーの選定を行います。
今回は当社でも良く搭載しているゼンスイ(ZENSUI)のZCシリーズから選定します。
http://www.zensui.co.jp/products/cooler/zc
ZENSUIさんのページにて15℃設定、夏の猛暑等も事前に考慮してクーラーの周辺温度35℃で選びます。
- ZC-100α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で25L
- ZC-200α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で50L
- ZC-500α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で85L
- ZC-700α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で150L
- ZC-1000α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で245L
- ZC-1300α:クーラー周囲温度35℃想定の水温15℃設定で280L
さきほどの計算で合計が270Lでしたので、ZC-1300αを選定すれば大丈夫です。比較的涼しい地域や全館空調で設置環境が30℃以上にならない場合はZC-1000αでも数値的に問題はありませんが、少し余裕を持った冷却能力のクーラーの選定が失敗しない結果に繋がります。
活魚水槽のクーラーはどこのメーカーが良い?
活魚水槽用の国内メーカーは限られています。
特にシェアが大きい2社が先ほどのゼンスイ(ZENSUI)さんとレイシー(REI-SEA 「IWAKI」)さんです。
どちらの方が優れているという事はなく、お客様のニーズやストックする活魚の種類、水槽や生簀の構成、設置環境によってマッチしたものを選んで使用します。
ZENSUIのZCシリーズはコスパが良い
ゼンスイのZCシリーズは、クーラーと別に必要なのが循環ポンプ+ホースのみ。循環式でサーモスタットとコントローラーが本体に一体になっているので本体に通水している水の水温を検知し、水温調整が可能です。
小型の活魚水槽から中型の活魚水槽の冷却が得意です。国内で最も流通しているクーラーのシリーズと言えます。
REI-SEAのAZやFZは冷水や究極のシンプルを目指す場合に
レイシーのクーラーは15℃を遥かに下回る冷水にしたい場合に重宝します。小型で冷却能力の高いクーラーのラインナップがあり、北海道や深海に生息するカニなどのストックの際は検討してみましょう。
アームが付いた投げ込み式タイプのクーラーは、高い冷却能力と配管不要で簡単に設置ができるので、シンプルな活魚水槽の構成ができます。他にも、既存の生簀への取り付けも便利だったり、カニのシーズンだけ投げ込んでシーズンオフには外す等の汎用性に優れています。
室外機が近くに置ける条件だったら
活魚水槽や生簀の設置場所が、屋外に室外機型クーラーを置ける位置にある場合は、室外機タイプがお得に大きな生簀も冷却する事ができる可能性があります。その場合はZENSUIのZRWシリーズ等も検討してみると良いです。
水量が少なく済めばクーラー代も格安に!
水槽の合計水量が少なくて済めば初期投資でかかるクーラー代も安くなって、更にラーニングの電気代も安くなります。
当社のスーパーナチュラルシステム活魚水槽・凄い生簀は、濾過槽が要らないので水量が少なくて済みます。
更にストック出来る生体の収容率も高い数値を記録しており、お手入れの手間も少なく済みます。
中古の活魚水槽や生簀への導入も可能ですので、活魚水槽や業務用生簀をご検討の方は是非一度当社にご相談してみて下さい。