水槽を眺めるだけのアクアリウムセラピーの魅力とは
水槽を見つめるだけでリラックスした状態に
水面のゆらめき、ブルーの水中を優雅に泳ぐ色とりどりの魚、竜宮城のような美しいサンゴ。
森や草原のような緑のレイアウト、水槽を眺めるとその世界に包み込まれます。
常に動いている水や泳ぎ回る魚、ゆったりと泳ぐ魚、波に揺られるイソギンチャク等を見ているだけで、人はリラックスした状態になります。
それがアクアリウムセラピーの効果です。
人は1日に6万個もの考え事をし、その95%が昨日と同じ内容
人間が考えることの80%はネガティブな思考
アメリカの心理学者の研究によると、私たちは1日に約60,000個の物事を考えていると言う結果が出ています。睡眠中を除いた時間、毎秒何かを考えています。
その殆どの人が60,000個の物事のうち、95%の内容が昨日と同じことを考えており、「その中の80%は不安や不満等のネガティブな思考」だと言うのです。
この原因は、私たち人間が非常に記憶力の優れた動物だというところにあります。
- 不安や不満がある時、人は次々に関連した不安や不満を連想します。
- 不安や不満が溜まると心配になったりイライラしてしまいます。
- 心配になると「アドレナリン」というホルモンが分泌されはじめ、その心配は増幅してしまいます。
- 更に興奮すると「ノルアドレナリン」というホルモンが分泌されて、よりイライラに繋がってしまいます。
私たち人間の頭脳は、このような仕組みになっています。
頭脳の悪循環を止める役割を果たすのが「気分転換」
この悪循環を止める為にはどこかで断ち切る事が大切です。それを断ち切る役割を果たしている行為が、私たちが日常で無意識に行っている気分転換です。
その気分転換は、海や川へ行く、登山や温泉、旅行など多種多様です。
しかし、都市部で暮らす現代人の多くは時間や仕事などの都合により、そのリラクゼーションが追いついていません。
前向きな考え方・ポジティブシンキングになる為に必要な事は、ネガティブな要素を忘れる良い意味での「忘却力」だと言われています。
水槽が含む要素その1「アクアセラピー」とは
「アクアセラピー」とは精神と身体機能向上の為の療法です。プール等を利用し、実際に水に触れて水の力を借りたリハビリテーションや、ボディーワークがメインの治療法です。
その中の効果としてアクアリウムに関連づけられる効果は、ストレスや緊張の緩和です。
私たちは70%以上が水で出来ている星に生まれ、母親のお腹の中で水に囲まれて生まれて来ます。また、私たち人間を構成する物質の60%が水です。
私たちのルーツは水にあり、生命の根源である水は無味無臭で無害です。人が命を保つため、健康を維持する為に欠かせない「水」がある環境は本能的に安心するしくみになっています。
美しい水のある場所には人が集まり、栄えます。本能的に水が癒しとなり、生活を支えています。私たちが美しい海・川・滝を求めて旅や観光をする事はごく自然な行為であり、誰しもがアクアセラピーを体験しています。
水槽が含む要素その2「アニマルセラピー」とは
アニマルセラピーとは動物を介して私たちの身体的・精神的・社会的機能を回復する事
「アニマルセラピー」とは、動物を介して私たちの身体的・精神的・社会的機能を回復する事が目的の療法です。療法といっても健康体だから効果が無いという事はありません。
アニマルセラピーの歴史は長く、1972年に遡ります。
当時イギリスで行われた記録では、精神障害をもつ患者にウサギや鶏の飼育を促すという物でした。結果的に自制心を身につけ、生物の大切さを学ぶ事が出来たという記録が残っています。
アニマルセラピーの恩恵『生理的効果』『心理的効果』『社会的効果』
現在のアニマルセラピーで得られる恩恵は、まず生理的効果があります。体内において生理学的な変化や脳内の伝達物質・神経系に変化が生じる事で得られるメリットです。
動物と接する事により、人の脳内にドーパミンが分泌され、ドーパミンの分泌は人が楽しいと思う感情の元となります。
次に、心理的効果があります。動物と経験した記憶の、楽しいと言う感情の想起による効果です。
その効果は抑うつ症状の改善や免疫力の向上につながります。
次に、社会的効果です。この効果は、動物を介する事によって人対人のコミュニケーションを促す効果があります。
例えば、老人ホームで、人とほとんど口を利くことがなかった入居者が、動物の話題を通じて他の入居者と会話を積極的にするようになるという事例があります。
また、現代社会において関係が希薄になりがちな集合住宅や、震災時後に集中した仮設住宅の住民の関係性に橋を渡すように、ペットが会話のきっかけとなりご近所間をつなぎ合わせる等の結果が実際に効果として現れています。
水槽を眺めるだけで癒される!「アクアリウムセラピー」の効果
”癒し”という数字では表せられない、目に見えないものですが、いつの時代を生きていても私たちに必要なものです。
私たちが日常で取り入れている癒し要素とは
私たちが日常で何気なく取り入れている癒し要素には以下のようなものがあります。
- 海や川等の水のある場所に行ったり見たりする行為
- 緑が生い茂る公園や森等、田舎へ行ったり見たりする行為
- 自宅やオフィスに観葉植物を置く行為
- 動物を見たり触れたりする行為
- 心地の良い音楽や音を聴く行為
日常生活の中で、このような行為によって癒された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
水槽には人が本能的に心地よく感じる要素がある
そして、水槽には人が本能的に心地良く感じられる要素が数多く詰まっています。
- 水槽の中に再現された大自然の風景
- 魚やエビや貝が暮らす姿
- 水底が照らされて緩やかに光る様子
- 水の流れる音
それは前述の「アクアセラピー」と「アニマルセラピー」の要素の両方を兼ね備えていると言えます。
「アクアリウムセラピー」には癒しの要素が多く凝縮されているのです。
水槽を眺めることで少しでも嫌なことを忘れ、落ち着いた状態をつくる『アクアリウムセラピー』は私たちに大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。