初心者が知っておきたいアクアリウムの基礎知識
自宅のリビングやお店のインテリアに、アクアリウムを始めてみたいけれど、何から始めていいのか分からない…という方の為に、初心者が知っておきたいアクアリウムの基礎知識をまとめました。
アクアリウムの種類について
アクアリウムを作ろうと思ったら『どんな種類のアクアリウムを作るのか?』をはじめに決めなくてはなりません。
「アクアリウムに種類があるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、実はアクアリウムには複数の種類があり、種類によって買い揃える道具や作り方も変わってきます。
アクアリウムの種類を理解して、自分がどんなアクアリウムを作りたいのか、をはじめに考えましょう。
まず、アクアリウムは大きく分けて『淡水魚アクアリウム』と『海水魚アクアリウム』に分けられます。
淡水魚アクアリウム
淡水魚アクアリウムは主に”川”に生息する魚や水草を使ったアクアリウムです。淡水魚アクアリウムの代表的なものをご紹介します。
淡水熱帯魚水槽
【難易度:★★☆☆☆】
アマゾンをはじめとする熱帯地域の「川」に住む熱帯魚の水槽です。
代表的なものとして「ネオンテトラ」「グッピー」「アロワナ」「コリドラス」などが挙げられます。
ろ過装置や、25℃程度の温度で育てるためのヒーター装置が必要となってきますが、比較的初心者でも扱いやすいアクアリウムです。
- 初心者でも育てやすい淡水熱帯魚:ネオンテトラ、エンジェルフィッシュ
- 初心者でも繁殖しやすい淡水熱帯魚:グッピー、プラティ
日本淡水魚水槽
【難易度:★★★☆☆】
日本の「川」に住む魚の水槽です。代表的なものとして「カワムツ」「イワムツ」「イワナ」が挙げられます。
ろ過装置や、渓流で育つ魚の場合はクーラーが必要になります。
日本のきれいな川で育った魚の飼育は、水質を常にきれいに保つ必要があり、水温調整も難しいため、淡水熱帯魚に比べると飼育がやや難しくなります。
- 初心者でも育てやすい日本淡水魚:カワムツ、ドジョウ、ハヤ、フナ
ネイチャーアクアリウム(水草水槽)
【難易度:★★★☆☆】
水槽の中に水草をメインにレイアウトし、熱帯魚を少し泳がせた水槽がネイチャーアクアリウムです。
複数の水草をレイアウトする場合は技術や知識を要するため、初心者では難しいかもしれませんが、2~3種であれば比較的簡単に飼育できます。
- 初心者でも育てやすい水草:アナカリス、カボンバ、アマゾンソード
アクアテラリウム
【難易度:★★★☆☆】
ネイチャーアクアリウムが「水の中」に生きる水草をレイアウトするのに対し、アクアテラリウムは陸上の植物と川辺で生息する魚を水槽の中に共存させるアクアリウムです。
まるで自然の姿をそのまま水槽の中に取り込んだような表現ができます。
アクアテラリウムは水槽内のレイアウトにセンスが必要な場合が多いですが、飼育自体は比較的簡単です。
金魚水槽・めだか水槽
【難易度:★☆☆☆☆】
初心者が一番はじめやすいのは「金魚」や「めだか」の淡水魚水槽です。
小さな頃に育てたことがある方も多いのではないでしょうか?
近年、アートアクアリウムなどイベントも開催されて広く認知されてきていますが、金魚やめだかの水槽も立派なアクアリウムです。
基本的にヒーターやクーラーといった温度管理の装置は必要なく、育てやすい魚のため、初心者でも飼育が簡単です。
水草や浮草を好きなようにレイアウトして、オリジナルのアクアリウムを楽しむこともできます。
海水魚アクアリウム
海水魚アクアリウムは主に”海”に生息する魚を使ったアクアリウムです。
塩分調整が必要なるため、淡水魚よりは少しレベルが上がりますが、カラフルで人気のある魚が多いのが特徴です。
海水魚アクアリウムの代表的なものをご紹介します。
海水魚水槽(熱帯魚・その他)
【難易度:★★★★☆】
映画「ファインディング・ニモ」で有名なカクレクマノミなど、主にカラフルな熱帯魚が人気の水槽です。
水温や塩分の調整が必要になるため、すこし飼育のレベルが上がります。淡水魚水槽に慣れたら、次は海水魚水槽という風にレベルアップするのも良いでしょう。
- 初心者でも育てやすい海水熱帯魚:スズメダイ科(リスズメダイ・デバスズメダイなど)、ナミクマノミ
クラゲ水槽
【難易度:★★★☆☆】
海水魚アクアリウムで熱帯魚の次に人気なのがクラゲ水槽です。
ゆらゆらと泳ぐ姿に癒される方も多いのではないでしょうか?
一般的に水クラゲの寿命は半年程度のため、給餌をしても飼育し続けることは出来ません。新たに生体を追加しながら、クラゲ水槽を維持していく必要があります。
塩分調整をはじめとするメンテナンスはもちろん必要ですが、海水魚アクアリウムの中でも初心者が始めやすいアクアリウムです。
サンゴ水槽
【難易度:★★★★★】
アクアリウムの中で最も難しいのがサンゴ水槽です。水質の調整が複雑のため、専門知識が必要となります。
海水魚水槽を経験してから、慣れたころにチャレンジするとよいでしょう。
初心者はどんな水槽を買えばいいの?
どのようなアクアリウムを作るのかが決まったら、必要な道具を揃えていきましょう。
まず、どのようなアクアリウムにも共通して必要なのが『水槽』です。
水槽の規格サイズ一覧
水槽には規格サイズがあります。オーダーすることもできますが、初めての場合は規格サイズのものから始めると良いでしょう。
規格サイズのものはホームセンターなどでも安価で手に入りやすく、市販の水槽用キャビネットも規格サイズに合わせて作られています。
以下が規格サイズ一覧です。
水槽の種類 | サイズ(cm) | 水量 |
---|---|---|
10cm水槽 | W10×D10×H10 | 約0.8L |
20cm水槽 | W20×D20×H20 | 約6.5L |
30cm規格水槽 | W30×D18×H24 | 約10.5L |
30cmワイド水槽 | W30×D24×H24 | 約14.0L |
30cmキューブ水槽 | W30×D30×H30 | 約21.5L |
45cm規格水槽 | W45×D24×H30 | 約26.0L |
45cmワイド水槽 | W45×D30×H30 | 約32.5L |
45cmキューブ水槽 | W45×D45×H45 | 約73.0L |
60cm規格水槽 | W60×D30×H36 | 約52.0L |
60cmワイド水槽 | W60×D45×H45 | 約97.0L |
60cmキューブ水槽 | W60×D60×H60 | 約173.0L |
75cm水槽 | W75×D45×H45 | 約121.5L |
90cm規格水槽 | W90×D45×H45 | 約146.0L |
120cm規格水槽 | W120×D45×H45 | 約194.5L |
180cm規格水槽 | W180×D60×H60 | 約518.5L |
初心者が扱いやすい水槽のサイズは?
どのようなアクアリウムにしたいのか、どんな魚をどのくらいの量飼育したいのか、によって水槽のサイズは変わってきますが、初心者はできる限り小さめの水槽を選ぶようにしましょう。
ただし、水量が少なすぎると水質が安定しにくいため注意が必要です。
初心者が始めやすいアクアリウムについて、おすすめの水槽サイズと生体数をまとめました。
金魚・メダカ水槽
種類 | おすすめの水槽サイズ | おすすめの生体数 |
---|---|---|
金魚 | 30cm水槽 | 小さいもので5匹 |
めだか | 30cm水槽 | 15匹 |
淡水熱帯魚水槽
おすすめの水槽サイズ | おすすめの生体数 |
---|---|
30cm水槽 | エンゼルフィシュ3匹+ネオンテトラ5匹 |
日本淡水魚水槽
おすすめの水槽サイズ | おすすめの生体数 |
---|---|
30cm水槽 | ドジョウ3匹+ハヤ5匹 |
海水魚水槽(熱帯魚)
おすすめの水槽サイズ | おすすめの生体数 |
---|---|
30cm水槽 | ナミクマノミのペア+デバスズメダイ3匹 |
水槽の他に用意しなければならないものは?
アクアリウムの種類によっても変わってきますが、水槽の他にも用意しなければならない代表的なものをご紹介します。
エアレーション(酸素供給)機器
どんな種類のアクアリウムでも、水中に酸素を送り込んであげる道具を用意しましょう。
基本的には「エアポンプ」「エアチューブ」「エアストーン」の3つをセットして酸素を水中に送り込みます。
全てがセットになったエアレーションセットも市販されています。
金魚水槽・めだか水槽の場合はエアレーション機器がなくても飼育できないことはないのですが、出来る限り用意する方がよいでしょう。
ろ過装置(ろ過装置のいらない水槽もあり)
一般的な水槽は、自然に比べて狭いため、魚の糞や食べ残した餌をすべて分解することができずに汚れてきます。
そのため、それらの有害物質を取り除くろ過装置が必要です。
ろ過装置にもさまざまな種類がありますが、どれも『汚れた水槽の水をろ過装置を通してきれいにして水槽に戻す』という仕組みになっています。
金魚水槽・めだか水槽の場合は必要ありませんが、その他のアクアリウムをつくる場合は、基本的にはろ過装置を用意するようにしましょう。
当社ではろ過装置がなくても「微生物だけの力で水槽の水をきれいに保つ」特許取得の仕組みを取り入れた水槽システムを販売しております。
ろ過装置はどうしても大掛かりになりますので、アクアリウムをコンパクトにしたい方はぜひご検討ください。
その他
「水槽」「エアレーション機器」「ろ過装置」があれば基本的にはアクアリウムは始められます。
アクアリウムをきれいに見せたい!という方は「照明機器」も用意すると良いでしょう。
水温調整が必要な生体の場合は「クーラー」や「ヒーター」が必要となりますし、水草を使う場合は「底砂」も必要です。
水槽の設置場所やメンテナンスについて
最後に、アクアリウムはどのような場所に置くべきなのか、また、アクアリウムを作った後のメンテナンスについてご説明いたします。
水槽はどんな場所に置けばいいの?
水槽は直射日光の当たらない、水平な場所に置くようにしましょう。
60cm未満の水槽の場合は普段使用してるテーブルの上でも問題ありませんが、それ以上の大きさの場合は耐久性のある水槽台(キャビネット)を用意するようにしてください。
規定サイズの水槽であれば、水槽サイズに合った水槽台が多数市販されています。
アクアリウムのメンテナンス
アクアリウムを作った後に行わなければならないメンテナンスには以下のようなものがあります。
餌やり
観賞用のアクアリウムですが、生き物を飼育するため当然のことながら餌を与える必要があります。
飼育する魚によって餌の種類や頻度も変わりますが、一般的なものでは1日に1~2回、食べきれる量を与えてあげるようにしましょう。
温度管理
熱帯地域で生息する熱帯魚や渓流で生息する淡水魚などは、ヒーターやクーラーで常に生息地域に合わせた水温にしてあげなくてはなりません。
水槽に温度計を設置して、日々水温に異常がないか確かめるようにしましょう。
苔掃除
アクアリウムのような水槽には、どうしても苔が発生してしまいます。
苔自体は発生しても害があるものではありませんが、鑑賞用のアクアリウムにとっては見た目が悪くなってしまいますので、苔が発生したらこまめに掃除をするようにしましょう。
配管なども汚れてきますので、水槽だけでなく気になったらそれらも掃除するようにしましょう。
水換え
アクアリウムのメンテナンスで最も面倒なのが水換えです。水槽の種類や大きさなどによっても変わりますが、基本的には2週間に1回程度行うようにしましょう。
水換えは全量ではなく、水槽中の1/3程度の水を交換するように行います。
その際、交換用の水を水槽内の水質に合わせる必要があります。
淡水の場合は水道水をカルキ抜きをして水温を合わせた水を、海水の場合は塩分濃度・水温を合わせた海水を用意します。
カルキ抜き剤や人口海水の素が市販されておりますので、利用すると良いでしょう。
当社で販売している水槽システムは、水槽の中を海と同じ環境にする仕組みのため水換えがいりません。
面倒な水換えをやりたくない!という方はぜひご検討ください。
ろ過フィルターの掃除・交換
水槽にろ過装置を設置した場合は、ろ過フィルターの掃除や交換を行わなくてはなりません。
使用したろ過フィルターに、推奨の掃除・交換時期がありますので、その期間を参考にして掃除・交換を行ってください。
最低でも6ヶ月に1回は行うようにしましょう。
苔掃除や水換え、ろ過装置のメンテナンスについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。
その他、アクアリウムで気を付けること
設置場所やメンテナンスの他に、注意点として初心者の方に知っておいていただきたいのは『アクアリウムには昼夜が必要』だということです。
自然の中に昼と夜があるように、水槽にも昼と夜を作ってあげないと、魚たちは元気に生育してくれません。
照明をつけている場合、照明の点灯時間は1日8時間程度にして、昼夜を作るようにしてください。
自然光で生育する場合でも、例えば夜営業のお店などでは、人間用の照明で24時間明るい状態となるため、人為的に水槽のまわりを段ボールなどで囲うようにして、夜を作ってください。
アクアリウムライフを楽しみましょう
「アクアリウムは癒される」といった声をよく聞くように、アクアリウムは心を穏やかにしてくれる素敵なインテリアです。
アクアリウムの基礎を理解して、自分に合ったアクアリウムに挑戦してみてください!